みなさんは、「ブルーライト対策」って何かやってますか?
わたしはもう何年も、1日中ずっとPCのモニタに向かうような仕事をしています。プライベートでも、スマホは暇さえあれば見ているし、以前はネットゲームにはまってたこともあるし、最近はブログをせっせと書いてます。
日々ブルーライト浴びまくりなわけです。
ブルーライトカットのPC用メガネは、流行りだした頃からずっと愛用してます。たしか6~7年前ぐらいから使ってるんじゃないかな? と調べてみたら、JINS PCが2011年、Zoff PCが2012年に登場らしいので、まさにその頃からですね。ちなみにわたしはZoff派です。
ブルーライトカットグラスを使うようになる前は、午後から夕方ぐらいになると、目がショボショボしたり、光が目にしみると感じたりすることが多かったんです。でも、使ってみたらそうした感覚が嘘のようになくなりました。
と感動したのを覚えています。
ブルーライトカットのメガネで目が楽になるということは、ブルーライトってものはやっぱりそれなりに影響力の大きいものなんだろうなということは感じているんですよね。
なので、
「寝る前にスマホを見ると、睡眠の質が低下するから肌に良くない!」
みたいな意見には、わりと納得してたんですよ。
ま、わたし自身は、そう言われても寝る直前までスマホ見てますけどね……。
ところが最近、そうした間接的な影響ではなくて、「ブルーライトが直接、肌に悪影響をもたらす」という説を目にする機会が増えました。
ブルーライトはエネルギーの強い光なので、長時間浴びていると紫外線ばりに肌にダメージを及ぼすという説です。日焼けならぬ、「スマホ焼け」が起こりうるのだとか?
それが本当だとすれば、紫外線対策するように、目だけでなく肌にもブルーライト対策が必要なのでしょうか?
気になる「ブルーライトが肌に及ぼす影響」について調べてみました。
「ブルーライトが肌に悪影響」とする研究結果
「ブルーライトが肌に悪影響を及ぼす」と最近よく見かけるようになったのは、2016年に日本ロレアル株式会社が、ブルーライトと肌細胞に関する研究結果を発表したことが大きいみたいです。
もうひとつ、2014年にフランスのニース大学研究チームによる、ブルーライトと日焼けに関する論文っていうのもあるみたいなのですが、こちらはネット上には伝え聞き情報みたいなのしか見つけられなかったので、この記事では考えないことにします。気になる方は検索してみてくださいね。
さて、ロレアルの研究結果の要点は2つです。
- ブルーライトによって色素沈着が引き起こされる
- ブルーライトによる色素沈着はUVBによる色素沈着よりも消えにくい
この結果だけ見ると、「え、マジで? 対策しないとヤバイじゃん!」という気がしちゃうんですけど、なんとなくいろいろとモヤモヤするので、さらに考えていきたいと思います。
そもそもブルーライトとはどんなものだろう?
研究結果を見て、へえ~そうなんだ! と思う気持ちもありつつ、わたしがモヤっとしたのは、
というような疑問を感じたからでした。
「紫外線が肌にもたらすダメージって? ラスボス級の強敵を知ろう」にも書きましたが、わたしたちの目に見える光(可視光線)は、波長が長いほうから「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」の順に色として認識されます。
紫よりも波長が短くて、目に見えない光が「紫外線(Ultraviolet)」です。そして、地上に届く紫外線は、長めの波長を持つ「UVA」と、短い波長を持つ「UVB」に分類されます。
で、ブルーライトですけど。
わたしはこれまで、ブルーライトというのは「可視光線の中で、波長が短い(エネルギーが強い)もののこと」だとざっくり認識していました。
今回、ブルーライトが紫外線のように肌に影響を与える可能性があると知って、ふと、
と思ったんですよね。バイオレットライトっていうのはないんかい? と。
気になったことは早速Google先生に聞いてみよう! ということで検索してみました。
そしたらあるじゃん、バイオレットライト!
しかも、ざっと見たところ、紫外線やブルーライトがいろいろと悪者扱いされてる中で、なんかバイオレットライトは近視の進行を抑える作用があると期待されているみたい? Zoffでは紫外線とブルーライトをカットしつつ、バイオレットライトの波長だけの透過率を高めたメガネとか売り出してるし!
ちょっと驚いたけど、ブルーライトとバイオレットライト、紫外線それぞれの波長について調べてみたら、だいたい以下のような感じで呼び分けられていることがわかりました。
ブルーライト | 380~500nm |
---|---|
バイオレットライト | 360~400nm |
UVA | 320~400nm |
UVB | 290~320nm |
つまり、バイオレットライトはUVAとブルーライトの中間の波長を持つ光ということみたいです。バイオレットライトの多くはブルーライトであり、一部はUVAであるともいえますね。

疑問だった「ブルーよりバイオレットのほうが紫外線に近くない?」については、「ブルーライト」と呼ばれるものには、日本語の「青」だけじゃなくて「藍」や「紫」と認識される光も含まれていると考えるのがよさそうです。
ブルーライトと紫外線それぞれが肌に及ぼす影響
ブルーライトと紫外線の中間をまたにかけた波長であるバイオレットライトには、目に対する作用が確認されているようですが、今のところ肌に対する作用については特に何か確認されているわけではなさそうなので、ここでは無視することにします。
今のところ肌にとっては、バイオレットライトはブルーライトの一部またはUVAの一部であると考えて良いと思います。
ブルーライトの肌への影響、特に「日焼け」「色素沈着」といった問題について考えるなら、紫外線と比べて考えるべきでしょう。
紫外線の中でも波長が短いUVBは、強いエネルギーを持つため、肌に炎症を起こさせることが知られています。赤くなる日焼け「サンバーン」は、UVBの影響で起こるものです。ただし、UVBは波長が短いため障害物を通過する力が弱く、その影響は表皮に留まり、真皮まで影響を与えることはありません。
一方、紫外線の中で長い波長を持つUVAは、UVBほど強力なエネルギーを持たないため、肌に急激な炎症をもたらすことはありません。ただし、波長が長い分、障害物を通過しやすく、表皮を通り抜けて真皮まで到達するため、真皮のコラーゲンなどを破壊し、肌に老化をもたらすとされています。
ブルーライトは、UVAよりもさらに波長が長く、エネルギーが弱い光ということになります。UVBとUVAそれぞれが肌にもたらす影響を考えた場合、ブルーライトが肌にもたらす影響は、UVAに近いと考えるのが自然です。
なのにさっきの研究結果は「UVBと比べて」と言っているのが引っかかったんですよね。UVBは表皮にしか影響しないのだから、より肌の奥深くまで影響すると考えられるブルーライトで色素沈着を起こしたとしたら、UVBのほうが早く消えるのは当たり前のことじゃないかなって思うんです。
より近い性質を持つはずのUVAと比較していないのは、ブルーライトが肌に及ぼす影響がUVAより少なかったからではないでしょうか? だから、あえて肌への影響の仕方が違うUVBと比較することで、もっともらしい「影響」として訴求したいという意図があったんじゃないかな。実情はわかんないですけどね。
比較実験の条件に、「ブルーライトには真夏3時間分の太陽光に相当する1平方センチ当たり87.5ジュールの光を用いた」ってあるんですけど、これも謎です。
ジュールはエネルギーの単位です。ブルーライトは可視光線の中では波長が短くエネルギーの強い光ですが、紫外線と比べたら波長が長く、エネルギーが弱い光のはず。
真夏3時間分の太陽光に相当するエネルギーのブルーライトって言われてもピンと来ないけど、そのエネルギーのブルーライトを浴びるって、スマホなんかからは現実的にありうることなのかな? って疑っちゃうというのが正直なところです。
ブルーライトと似ている「ロングUVA」
ところで、ブルーライトの「UVAよりさらに波長が長くて、肌の奥まで届きやすい」という性質って、何か思い出すものがあったりしませんか?
わたしは真っ先に「ロングUVA」というやつの存在を思い出しましたよ。ロングUVAはUVAの一部ですけど、一般的な日焼け止め成分でカットできるUVAより長い波長を持つ、可視光線により近いUVAです。
UVAの波長は320~400nmの紫外線で、このうち340~400nmの波長を持つものがロングUVAと呼ばれるようです。
ロングUVAの特徴としては、以下のようなことがよく言われています。
- UVAの大部分を占めている
- 一般的な日焼け止めではカットできない
数年前、ロングUVAが話題になり始めた頃、気になって調べてみました。たしかに波長の範囲からすると、UVAの大部分がロングUVAだと言えます。また、一般的な紫外線吸収剤では防ぎにくいというのも、まあ根拠のある話のようです。
ところで今回ブルーライトについて調べてみて気づいたんですけど、このロングUVAという言葉が流行るきっかけを作ったのもロレアルなんですよね。ロレアルがロングUVAに対応した吸収剤「テレフタリリデンジカンフルスルホン酸」を開発して、その成分が配合された製品の発売に合わせたプロモーションで注目されるようになったようです。
そして、ブルーライトの肌への悪影響についての研究結果が掲載されていたのは、ランコムのブルーライトカット効果があるCCクリームのプレスリリースです。この製品にも、同じ成分が配合されています(ランコムはロレアルのブランドの一つです)。
ロングUVAとブルーライトの危険性の低さについて
さらにロングUVAについて調べていたら、かずのすけ先生の以下のエントリーにたどり着きました。そしてとても納得!
すごく勉強になる記事なので、ぜひ実際に読んでみてほしいのですが、要点をまとめると、
- ロングUVAの危険性は低い(遺伝子に吸収されない)
- ロングUVA対応の吸収剤は肌への負担が大きい
ということになります。
だからこそ、市販されている日焼け止めにはロングUVAに対応する成分があまり含まれていないんですね。
ブルーライトはロングUVAよりもさらに波長が長くエネルギーの弱い光です。真皮の奥まで到達したとしても、危険性はロングUVAよりさらに低いと考えられます。
そう考えると、肌へのブルーライト対策に関しても、ロングUVA同様、そこまで神経質になる必要はないのでは? というのがわたしの今のところの結論です。
まとめ:正しい知識を得てブルーライト対策を考えよう
ブルーライトについて調べてみると、いろんな情報が入り乱れていることがわかります。中には「ブルーライトは紫外線です」みたいに、あからさまに間違ったことが書かれているものも見られました。
ブルーライトが肌に与える影響について書かれた美容記事にも、製品のプレスリリースだけをうのみにして、どれも同じような内容で「スマホ焼けに注意!」みたく危機感を煽るものが多いと感じました。
もちろん、ブルーライトが肌に与える影響については、まだまだわかっていないことも多いでしょう。防げるなら防ぐに越したことがないと思います。でもそのために、専用の化粧品を導入する必要はないんじゃないかなというのが、今のわたしの個人的な意見です。
まずはとりあえず、スマホやPCの設定でブルーライトを軽減したり、長時間のスマホの見過ぎに注意したりなど、できることから心がけていきたいですね。
