美肌の知識

【書評】化粧品成分表示のかんたん読み方手帳|久光一誠

アイキャッチ:『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』表紙

マリーです。今日は化粧品成分についてのおすすめ本を紹介したいと思います。
『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』(久光一誠 監修/永岡書店)という本です。

化粧品に限らず、食品や医薬品もそうだと思うんですけど、どんな成分が入っているのかって、製造に関わってでもいないかぎり、謎に包まれていますよね。もちろん成分表示はされているけど、成分名を見てもどんな成分なのかイメージできないから、結局よくわかりません。

一方でネットやテレビ、書籍では〇〇という成分は危険!」「〇〇が入っているものは買っちゃダメ!みたいに、不安を煽るような取り上げられ方をすることが多くて、何を選べばいいか困ってしまうことも……。

そんな風に、化粧品の成分について「無関心ではないけどあんまりわからない」という人に、とてもおすすめしたい本です。

『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』ってどんな本?

『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』は、スキンケア化粧品に使われることが多い主な成分について解説している本です。成分の解説書というと小難しそうな印象を受けるかもしれませんが、「手帳」と名付けられているように、新書版で全160ページほどのコンパクトにまとめられた本です。

読み物形式で書かれていますが、最後には成分名から引ける索引もついているので、ちょっとした成分ハンドブックとしても使えそうです。

監修者の久光一誠(ひさみついっせい)さんは、化粧品成分検定協会の代表理事の方ですね。東京理科大大学院出身で、化粧品会社でスキンケア化粧品の開発業務に携わった後、現在は化粧品開発のコンサル業をなさっているそうです。

全7章で、以下のような章立てになっています。

化粧品成分表示のかんたん読み方手帳 構成
  • 1章:「化粧品リテラシー」を身につけよう
  • 2章:種類別・スキンケア化粧品の基礎知識
  • 3章:「コスメのプロフィール」を知ろう
  • 4章:スキンケア化粧品は「3つの要素」でできている
  • 5章:化粧品の形を作る「ベース成分」
  • 6章:化粧品の個性となる「機能性成分」
  • 7章:化粧品と肌を守るための「安定化成分」

1章は化粧品の成分にまつわるウワサや風潮を取り上げつつ「化粧品リテラシー」について伝える読み物。2~3章は化粧品製造・販売や成分表示についての基本的な知識、4~7章が具体的な成分構成と各成分についての説明という構成です。

ちなみに、スキンケア化粧品のみを取り上げていて、メイクアップ化粧品に多く使われる成分(着色剤など)については、この本ではほとんど取り上げられていないです。

『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』のおすすめポイント

おすすめポイント1:読み物部分がおもしろくてためになる

1章は具体的な成分の説明というよりは、本の導入部分として、「化粧品リテラシー」にまつわる読み物となっています。

ネガティブな印象を持たれやすい化粧品成分(シリコーン配合シャンプーや石油由来成分、界面活性剤など)を取り上げて、実際のところ危険性があるのかどうか。逆に良い印象を持たれやすい天然成分、オーガニック成分について、本当に安全なのかどうか。

軽い読み物なんですけど、この部分が本当に読みやすくおもしろくて「そうだよなぁ」と引き込まれます。このあたりの話は、化粧品を使うすべての人が知っておくべき内容だなと思いました。

あと個人的には、1章の冒頭にある以下の文言を読んで、目からウロコが落ちた気分でした。

そもそも化粧品は、皮膚や毛髪を保護して健やかに保つことが役割です。そして「楽しむ」ことも大きな目的のひとつ。使い心地を味わう、ケアをする実感を楽しむものです。薬のように不調を治す力は持っていません。
ところが、今は化粧品に対して、数字と結果を強く要求する方向へ行きつつあります。(中略)化粧品で得る満足感の軸が、ちょっとずれているのかもしれません。

マリー
マリー
スキンケアを「楽しむ」という基本を、改めて思い出させてもらえた気がします

おすすめポイント2:順を追った解説で理解しやすい

化粧品の成分について少しずつ学び始めたところなんですが、素人すぎてえ、待って、なんで今、水性成分の話が始まったん???って、立ち止まっちゃうことも多いんです。

でもこの本は順序だてて説明されているので、すんなり読み進められます。まず化粧品の成分の基本的な構成について説明して、それから「ベース成分」「機能性成分」「安定化成分」に分類して、代表的な成分を取り上げて説明していくという構成になっています。

話の流れというか「今、何の話をしているのか」が、わたしのような初心者にもすごく理解しやすいんです。もちろん、1回読んだだけですべての成分の名前とどんな特徴があるのかまで全部頭に入るわけではないですが、あとから読み返したくなったとき、どこに何が書いてあったかをすごく探しやすいと思います。索引もついてますけどね。

おすすめポイント3:成分の働きについて、一歩踏み込んだ説明がある

わたしは個人的に美白成分への関心が高いので、美白成分にはどんな名前のものがあるのかや、基本的にどんな働きがあるのかについては、一通りは知っていました。
でも、ざっくり「メラニンの生成を抑える」と理解していたものにも、「チロシナーゼを分解する」「チロシナーゼの活性を抑制する」「メラノサイトへの情報伝達を阻害する」などなど、成分によって働き方が違うということがわかって「へぇ~!」でした。知っている方には当たり前なのかもしれませんが、一歩踏み込んだ説明はおもしろくて勉強になりました。

マリー
マリー
2017年7月に出た本なので、「2016年にポーラが日本初の“抗シワ”医薬部外品有効成分の承認を取った」など最新の話題に触れられてるところもうれしいです!

化粧品の成分について勉強中の人にもおすすめ!

今、わたしは日本化粧品検定1級を受験しようと思って勉強しているところです。化粧品検定の対策テキストって、デザインおしゃれですごくかわいいし、図表が多くて眺めているだけでテンションあがる素敵な本だと思うんですけど、教科書というよりは参考書っぽいですよね。いろんな情報が網羅されていてよくまとめられているんだけど、1から学びたいなと思ったときには、対策テキストだけではわからないことが多いなと感じたんです。

特に成分については知らないことが多くて、基本的なところから文章で解説してくれる本はないかなぁと探していたときにこの本を見つけて、入門の1冊としては良いんじゃないかなーと思って読んでみたんです。

そしたら、大満足! 高校で学んだ化学の知識とかほとんど忘れているわたしでもスラスラ読めるわかりやすさでした。

特に、界面活性剤4タイプの「見分け方」については、必読レベルじゃないかなと思いました。今目指しているのは化粧品検定ですが、この本を読んだら、化粧品成分検定にも挑戦してみたくなりましたよ(化粧品成分検定公式テキストも買いました)。

まとめ:化粧品の成分に興味がある人は、まずこの本から!

Webのライティングとかでもそうなんですけど、「〇〇の成分が入った化粧品を買ってはいけない!」みたいなセンセーショナルな言い回しで不安を煽る手法は、多くの人の興味を引きやすいんですよね。でも「そういうタイトル付けてる時点でお察し……」と感じて、興味がなくなるわたしみたいな人もいます。だって単純な性格だから、うっかりそういうの見ちゃって心揺らされたくないんですよね。

派手さはないけど、中立的な立場で、知りたいことについて丁寧に説明してくれる。
そういう本が好みな方には、きっと楽しめる本だと思います。

こんな人におすすめの本です
  1. 化粧品を選ぶとき、口コミ以外にも判断基準を持ちたい人
  2. 化粧品がどんな成分でできているのか知りたい人
  3. 化粧品検定や化粧品成分検定を受けたい人
ファンデーションのコンパクトを載せた女性のてのひら
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