美肌の知識

紫外線が肌にもたらすダメージって? ラスボス級の強敵を知ろう

七色に輝くこもれび

美肌を目指すわたしたちの前には、日々さまざまな肌トラブルという強敵が現れます。乾燥やくすみ、シミ、肌荒れ、毛穴の開き、たるみ、しわ……。
こうした多くの肌トラブルの裏で糸を引く、ラスボス的な存在が存在することをご存知でしょうか。

肌に数々のダメージをもたらす、その名は「紫外線」!

今回は、美肌道を歩んでいくにあたって絶対に攻略しなければならない強敵、紫外線について学んでいきましょう。

そもそも「紫外線」とはどんなもの?

紫外線は日光に含まれる目に見えない成分

「若々しく美しい肌を守るためには、紫外線対策が重要である」ということは、多くの人に知られるようになってきました。でも、「紫外線とは何ですか?」と質問されたら、自信を持って答えられるという人は少ないのではないでしょうか。

「日差し」や「日光」などと呼ばれる、太陽の光のことを紫外線と呼ぶのだと思っている人もいるかもしれませんね。太陽の光イコール紫外線と考えても間違いではないのですが、もう少し正確に言うと、紫外線とは、太陽の光に含まれる成分の一つなのです。

地上に届く太陽の光には、わたしたち人間の目に見える波長を持つ「可視光線」と、目に見える範囲外の波長を持つ「不可視光線」があります。不可視光線の一つが「赤外線」もうひとつが「紫外線」です。

ヒトの目に見える光は、波長の長い方から「」の順に、色を持った光として認識されます。可視光線の範囲外にあって、赤色の光より波長が長い光線が「赤外線」、紫色の光より波長が短い光線が「紫外線」と呼ばれています。

マリー
マリー
同じように「紫の範囲外」という意味で、英語で紫外線は“Ultraviolet”って言うんだよ。これを略した「UV」っていう呼び方は日本でもおなじみだよね。

地上に届く紫外線には2種類ある

紫外線は、波長の長さによって、さらに「A波」「B波」「C波」の3種類に分類されます。このうち最も短い波長を持つC波は、オゾン層で吸収されるため地上には届きません。地上に届く紫外線は、A波とB波の2種類です。

UV-AとUV-B

UV-A(紫外線A波)
長い波長を持つ紫外線。エネルギーは弱いですが、波長が長いため反射されにくく、障害物があっても通り抜けるという性質があります。UV-Aはオゾン層や雲を通り抜けやすいため、地上に届く紫外線の大部分を占めています。

UV-B(紫外線B波)
短い波長を持つ紫外線。反射されやすいため、オゾン層などで多くが吸収されますが、一部が地上に届きます。強いエネルギーを持っています。

紫外線が肌に与えるダメージとは

強力なエネルギーを持つUV-Bと、エネルギーは弱いながらも障害物を通り抜けやすいUV-A。性質の違う2種類の紫外線は、それぞれ肌にダメージをもたらします。

強いエネルギーで肌にダメージを与えるUV-B

紫外線による肌のダメージといえば、真っ先に思い浮かぶのが「日焼け」です。日焼けには、紫外線を浴びた直後から肌が赤くなってヒリヒリする「サンバーン」と、数日後に肌が褐色になる「サンタン」の二種類の症状があります。

サンバーンは、紫外線を浴びることで肌が炎症を起こした状態。紫外線による火傷のようなものです。サンバーンの原因となるのは、紫外線の中でも強いエネルギーを持つUV-Bです。
一方サンタンは、紫外線を浴びることで表皮でたくさんのメラニン色素が作られ、肌の色が濃くなった状態です。こちらはUV-AとUV-B、両方の影響で起こります。

マリー
マリー
日焼けで肌がヒリヒリするのはUV-Bによるダメージ。UV-Bは強いエネルギーを持っているから、無防備に浴びると肌の細胞を傷つけてしまうこともあるんだよ。

肌の奥まで届いて光老化をもたらすUV-A

強いエネルギーで肌に急激なダメージもたらすUV-Bに比べ、エネルギーの弱いUV-Aはそれほど肌への害がないと、一昔前までは考えられていました。しかし近年、UV-Aもまた肌にとって深刻なダメージを蓄積させるということがわかってきています。

UV-Aには、波長が長く障害物を通り抜けやすいという性質があります。このため、雲やガラスを通り抜けやすく、さらに肌の表面にある表皮を通過して、真皮にまで到達してしまうのです。

真皮には、肌のハリや弾力性のもとになる、コラーゲン繊維とエラスチン繊維があります。コラーゲンやエラスチンというのはタンパク質なのですが、UV-Aにはタンパク質を変質させてしまう性質があるんです。
日々、UV-Aを浴び続けていると、だんだん真皮のコラーゲン繊維やエラスチン繊維が破壊され、たるみやしわなど肌の老化現象を引き起こす大きな原因になるのです。
UV-Aのダメージの蓄積で起こる肌の老化は「光老化」と呼ばれ、肌の老化の最も大きな原因であると考えられています。

マリー
マリー
お肌の老化は、加齢そのものよりも紫外線(UV-A)ダメージの蓄積による「光老化」が大きな原因だとわかってるんだよ。

紫外線ダメージがさまざまな肌トラブルを引き起こす!

紫外線でダメージを受けた肌は、さらなる刺激から防御するために角質層を固く厚くしたり、ダメージ修復のためにターンオーバー周期を早めたりといった、イレギュラーな働きをしやすくなります。結果として、肌のターンオーバーが乱れたり、バリア機能が低下したりしてしまうのです。
ターンオーバーの乱れやバリア機能の低下は、肌の乾燥くすみごわつきなどさまざまな肌トラブルにつながってきます。

また、ターンオーバーの乱れは、シミができる原因にもなります。
紫外線を浴びたことによって作られたメラニンは、ターンオーバーが正常であれば、次第に表面へと押し上げられて剥がれ落ちていくものです。しかし、ターンオーバーが滞り、長く肌に留まり続けると、色素沈着してシミになってしまうのです。

マリー
マリー
夏の肌は特にたくさんの紫外線を浴びて、エアコンにさらされ続けることになるから、秋以降、急激に乾燥が進んでごわついたりくすんだりしやすいんだよ。

紫外線によるダメージから肌を守る対策は?

紫外線が肌に与えるダメージが、いかに多岐にわたっているかご理解いただけたでしょうか。
紫外線ダメージから肌を守るためには、紫外線をできるだけ浴びないためのアプローチと、浴びてしまった紫外線によるダメージを少なくするためのアプローチが重要になります。

とにかく紫外線を浴びないことが第一!

紫外線ダメージから肌を守るには、当たり前ですが、まずはとにかく「できるだけ紫外線をブロックして肌に浴びないようにする」のが第一です。

肌を露出する部分には、日焼け止めを塗る習慣を付けましょう。光老化の原因となるUV-Aは、年間を通じて地上に降り注いでいます。夏だけではなく、1年を通じて日焼け止めを使用することで、肌老化の防止につながります。

日焼け止めのSPFとPAって?

SPF(Sun Potection Factor)
サンバーンの原因になるUV-Bを防ぐ効果の高さを示す指標です。1~50+の数値で表示され、数値が高い方が防御効果が高くなります。

PA(Protection Grade of UVA)
光老化の原因になるUV-Aを防ぐ効果の高さを示す指標です。「PA+」から「PA++++」の4段階があり、+が多いほど防御効果が高くなります。

海や山などアウトドアで遊ぶときにはSPF値の高いもの、年間を通じた日常使いにはPA値の高いものという風に、目的や用途に合わせて使う日焼け止めを選びましょう。
また、日焼け止めは汗などで落ちてしまうものなので、小まめに塗りなおすことで紫外線カット効果が高くなります。

マリー
マリー
日焼け止めと合わせて、日傘や帽子、アームカバー、サングラスなどで紫外線カットするのも効果的だよ。

浴びてしまった紫外線によるダメージを抑える

できるだけ紫外線を浴びないようにと思っていても、普通に生活している限り、完全に紫外線をブロックするなんてことはできません。また、うっかり日焼け止めを塗り忘れたり、気を抜いてしまったりで、紫外線を浴びてしまうこともあるもの。浴びてしまった紫外線によるダメージを最小限に抑えるためのアプローチも、大切な紫外線対策です。

抗酸化作用のある食品を食べる

紫外線を浴びると活性酸素が作られ、過剰なった活性酸素は肌にダメージを与えてしまいます。活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」のある食品を食べることで、紫外線による肌ダメージを抑えることに役立ちます。
トマトやスイカに豊富に含まれる「リコピン」という成分は、特に抗酸化作用が高く、紫外線対策に効果的だと言われています。

「うっかり日焼け」はアフターケアが大事!

日焼け止めの塗り忘れや、「短い時間だから」「曇っているから」と油断したことで、うっかり日焼けしてしまったときは、日焼け後のアフターケアが肌ダメージを抑えるカギになります。
日焼けした肌は、冷やして炎症を抑えた後に、たっぷりの化粧水や乳液でしっかり保湿ケアをするようにしましょう。

まとめ:紫外線と上手に付き合っていきましょう

冒頭で「紫外線はお肌の超強敵! 美肌道のラスボス!」みたいな書き方をしましたが、この地上で生きていく限り、紫外線の影響を完全に防ぐことはできません。

それに、紫外線にはお布団を殺菌してくれたり、ビタミンDを作ってくれたり、わたしたちの役に立つ働きもあるんです。
お布団やカバー類の雑菌は肌荒れの原因になるし、ビタミンDにはターンオーバーを整える働きもあることを考えれば、紫外線は美肌作りに貢献してくれる部分もあると言えます(ただしもちろん、積極的に肌に浴びる必要はないです!)

紫外線の性質や肌にもたらすダメージを知り、有効な紫外線対策でお肌を守りながら、上手に紫外線と付き合っていきましょう。

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