美肌の知識

肌の構造と仕組みを知れば、効果的なスキンケアが見えてくる

透明感ある肌の女性

「肌のターンオーバーが……」
「角質ケアが……」
などといった言葉は、化粧品のCMや口コミでおなじみです。
でも“ターンオーバー”や“角質”という言葉は知っていても、実際のところふわっとした意味しか知らないという人は多いのではないでしょうか?
肌の構造や基本的な仕組みを理解して、美肌道に役立てましょう!

肌の構造ってどうなってるんだろう?

日頃わたしたちが「肌」と呼んでいるものは、「皮膚」という全身の表面を覆う組織です。
皮膚の厚さは、平均すると約2mm。ただし部位によって厚さは違っていて、例えば背中は3mm、まぶたは0.6mmといった具合です。

マリー
マリー
この厚さ2~3mmの皮膚で何が起こっているかを知ることが、効果的なスキンケアの第一歩なんだよ!

皮膚は「表皮」と「真皮」でできている

厚さ2mmの皮膚は、外側にある「表皮」と、奥にある「真皮」の2層に分かれています。
真皮のさらに奥には、真皮とさらに奥にある組織(筋膜など)をつなぐ「皮下組織」と呼ばれる部分があります。

肌の表面「表皮」の構造と仕組みを知ろう

表皮では、「ターンオーバー」と呼ばれる新陳代謝が常に起きています。
お肌が常にターンオーバーを繰り返しているからこそ、適切なスキンケアをすることで肌の状態を整えたり改善したりしていくことができるんです。
そんな表皮の構造とターンオーバーについて知っていきましょう!

表皮は4層構造

表皮の厚さは約0.2mm。
4層構造に分かれていて、外側から、

  • 角質層(かくしつそう)
  • 顆粒層(かりゅうそう)
  • 有棘層(ゆうきょくそう)
  • 基底層(きていそう)

と呼ばれています。
角質層は「角層」と呼ばれることもあります。

表皮の大部分(80~95%)は、「ケラチノサイト(表皮角化細胞)」と呼ばれる細胞でできています。
ほかに、メラニン色素を生み出す細胞である「メラノサイト」や、免疫を担う「ランゲルハンス細胞」、触覚にかかわる「メルケル細胞」といった細胞も表皮にあります。

マリー
マリー
メラノサイトが作り出すメラニンは、日焼けやシミ、くすみ、肌の黒ずみと深い関係があるよ。

ターンオーバーを繰り返す表皮

ケラチノサイトは基底層で生み出されて押し上げられ、最終的に肌の表面から垢となって剥がれ落ちていきます。これが肌のターンオーバーです。

1.基底層でケラチナサイトが生まれる

基底層にあるケラチノサイトは、基底細胞と呼ばれています。
基底細胞約20日ごとに細胞分裂して新たなケラチナサイトを生み出します。

2.ケラチナサイトが変形しながら上昇していく

基底細胞から分裂したケラチナサイトは、押し上げられて上昇していきます。
徐々に変形していき、有棘層にあるときは有棘細胞、顆粒層にあるときは顆粒細胞と呼ばれます。

3.角質となり、垢として剥がれ落ちる

上昇してきたケラチナサイトは、細胞核が抜け落ちた状態(死んだ細胞)となって角質層を構成します。角質層にあるケラチナサイトは角質細胞と呼ばれます。
角質細胞はやがて肌の表面にたどり着き、垢として自然に剥がれ落ちていきます。

基底層で生み出されたケラチノサイトが垢となって剥がれ落ちていくまでの一連のサイクルが肌のターンオーバーです。

マリー
マリー
ターンオーバーの周期は20代で約28日間。年齢を重ねるにつれてだんだん周期が長くなっていくんだよ

バリア機能の担い手「角質層」

皮膚にはさまざまな働きがありますが、中でも重要なのが「バリア機能」です。
バリア機能とは、いろいろな刺激から内側の組織を保護したり、異物の侵入を防いだり、水分の蒸発を防いだりして、わたしたちの身体を守る働きのことです。

表皮、特に角質層は、身体の最も外側にある組織なので、皮膚のバリア機能の一番の担い手となっています。

角質層の構造と構成成分

角質層の厚さは約0.02mm。
角質細胞の中には、「天然保湿因子(NMF)」と呼ばれるアミノ酸などの保湿成分が含まれています。
この角質細胞がレンガのように積み重なり、その間を「細胞間脂質」と呼ばれる脂質(セラミドなど)がセメントのように埋め尽くすことで角質層を形成しています。
角質層はこの構造によって、強力なバリア機能を発揮しているのです。

マリー
マリー
ターンオーバーの乱れなどで角質層の状態が悪くなると、バリア機能が低下してしまうの。バリア機能の低下は、乾燥肌や敏感肌の大きな原因になるんだよ

肌の奥「真皮」の構造と仕組みを知ろう

表皮の下にあるのが真皮です。
真皮にはコラーゲン繊維やエラスチン繊維がたくさん含まれていて、下から皮膚を支えています。
つまり、お肌のハリや弾力性にかかわる部分なのです。
ここからは、そんな真皮について知っていきましょう。

肌にハリとしなやかさを与える真皮

真皮は厚さ1~3mmほどで、皮膚の厚みの大部分を占めています。
表皮のようにはっきりとした階層構造に分かれているわけではなく、表皮とかみあわさる「乳頭層」と、大部分を占める「網状層」に大きく分けることができます。

真皮は何でできている?

真皮の大部分を占めるのは、「細胞外マトリックス」と呼ばれる繊維成分や基質です。

繊維成分

細胞間マトリックスの主成分となっているのがコラーゲン繊維です。
コラーゲン繊維は強靭で、お肌を下からぐっと支える働きがあります。
ほかに、エラスチン繊維というのもあります。
エラスチン繊維は弾力性に富み、お肌のしなやかさのもとになっています。

基質

細胞や繊維の間を満たすゲル状の成分です。
プロテオグリカンムコ多糖ヒアルロン酸などで構成されています。

細胞

真皮は大部分を細胞外マトリックスが占め、表皮と比べて細胞はまばらです。
真皮の細胞には、コラーゲンやエラスチンを生み出す「線維芽細胞」をはじめ、マクロファージや肥満細胞などがあります。

真皮のコラーゲンは年齢を重ねると減っていく!?

表皮ではターンオーバーが起こり、1~3か月周期で生まれ変わりを繰り返しているとお伝えしました。

一方、真皮の主成分であるコラーゲンは、たんぱく質の一種であって細胞ではありません。表皮のターンオーバーのような仕組みは、真皮にはないのです。

コラーゲンは線維芽細胞で生み出され、古くなったものは分解されていくという形で新陳代謝が行われます。そのサイクルは正確には計測できず、およそ2年から5年かかって代謝すると考えられています。

コラーゲンの産出量は20代がピークで、年齢を重ねるごとに少なくなっていきます。次第に、分解されるスピードに産出されるスピードが追い付かなくなっていくため、年齢を重ねるごとに真皮のコラーゲン繊維が少なくなってしまうのです。

マリー
マリー
加齢による真皮のコラーゲン減少は、肌のたるみやしわの大きな原因になるんだよ!

まとめ:肌の構造を知って日々のスキンケアに生かそう!

お肌の構造と仕組みについて、大まかに把握できたでしょうか?
聞いたことのない言葉が多くて、いまいち消化不良という方もいらっしゃるかもしれませんね。

正直言って、お肌の構造やターンオーバーの仕組みについて詳しく知らなくても、日々のスキンケアにそこまで困ることはないと思います。
でも、肌と向き合って、きれいになっていきたいと思うなら、お肌についての知識はあるに越したことありません。

例えば、お肌はたった2mmほどの厚さしかない、まぶたなんて0.6mmの厚さだとわかれば、「肌に摩擦は厳禁! こすっちゃだめ!」と言われる意味を、理解できるようになるはずです。

ターンオーバーは28日かそれ以上かけて一周すると知っていれば、角質へ働きかけるケアが効果を表すまでに、最低でも1か月は続けてみる必要があるという理由がわかると思います。

きれいなお肌になるためには、お肌のことを深く理解して、自分のお肌と向き合い、愛情をかけて育てていくのが一番大切だと、わたしは思っています。新しいコスメや美容法の情報を追いかけるのも楽しいけど、お肌の基本的な部分に対する理解もちょっとずつでも深めていくようにしたいですね。

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