美肌の知識

ブルべ・イエベってどういう意味? パーソナルカラーの基礎知識

ブルべ、イエベって? パーソナルカラー基礎知識

先月、某美容雑誌の特集記事が「肌の色で対立を煽るような内容」だと炎上して、後日その雑誌の公式サイトに謝罪文が掲載されるという出来事がありました。

その特集記事を見たわたしの感想は、対立を煽っているとか差別的だとかいう以前に、「いや、そもそもこの記事作った人、ブルべとイエベがなんなのか全然理解してないよね……!」というものでした。

「えー、(関係ないジャンルの雑誌ならまだしも)美容雑誌でこの企画が通っちゃうん?」って驚いたんですよ。

マリー
マリー
むかし「ガングロvs美白」みたいな企画作ってた人が流行りの言葉を同じ意味と勘違いして当てはめて焼き直ししたんじゃない……? とか思ったよね。

ところが、この件のまとめに対するはてなブックマークのコメントなどを見ると、もちろんわたしと同じようなところにモヤってる人もそれなりにいたのですが、そこを問題にしてる人は意外と多くない印象だったんです。単に内容の品のなさ自体に言及しているか、

「そもそもブルベイエベってなんなのかまったくわからない」
「血液型占いみたいなもの?」
「エセ科学?」

みたいな声も結構多いんだなぁと感じました。
まあ、はてなユーザーは男性が多いからというのはもちろんあるのでしょうが、女性らしきユーザーの「よくわからない」というコメントもちらほら見かけたのを覚えてます。

パーソナルカラーって、知ってるとけっこう便利で楽しいものです。
その基本となっているブルべ、イエベってどういう意味なのか、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。

ブルべ、イエベってどういう意味?

カラフルなマカロン
ブルべ、イエベというのは、それぞれ「ブルーベース」「イエローベース」を略した言葉です。

パーソナルカラーと呼ばれる「その人に似合う色」を、大きく2系統に分類する際に用いられています。

色っていうのは、光の波長の違いによって、異なるさまざまな色として認識されます。波長が近い色は、同じ色みのグループとして感じられます。

でも、たとえば同じ【ピンク】と感じる色にも、【ローズピンク】のように青みに寄った色もあれば、【サーモンピンク】のように黄みに寄った色もあります。

【グリーン】と感じる色にも、【エメラルドグリーン】のように青みに寄った色もあれば、【ライムグリーン】のように黄みに寄った色もあります。

すごくおおざっぱに言うとパーソナルカラーでは、青み寄りの色が似合う人が「ブルーベース」、黄み寄りの色が似合う人が「イエローベース」というふうに分けられます。

ロバート・ドアのカラーキープログラム

色の系統を「ブルーベース」と「イエローベース」に分けるという考え方は、アメリカ人のカラーコンサルタント、ロバート・ドア(Robert C. Dorr)が提唱しはじめたものです。

ドア氏は美術学校の学生だった頃、看板の塗装のアルバイトを経験しました。その現場で仕事に携わる職人たちの間では「色の統一感のある看板にするために、塗装に使うすべてのペンキに黄色または青色のペンキを少しずつ混ぜる」というテクニックが当たり前のように使われていたそうです。

この手法に着想を得たドア氏は、やがて「カラーキープログラム」という色の指標を生み出します。
「キー1(クールブルーアンダートーン)」と「キー2(ウォームイエローアンダートーン)」の2つのカラーパレットがあり、同じパレットの中から色を選ぶことで調和のとれた配色が実現できるというものです。

ドア氏は、自身の色彩理論を発展させながら、家具やテキスタイルのデザイン、化粧品開発などに携わりました。

マリー
マリー
色をブルー系とイエロー系に分けて、ベースカラーに調和する色を選ぶというドア氏の理論は、現在のパーソナルカラーの主流ともいえる「フォーシーズン分類」の土台になっています。

「ブルべ夏」って? パーソナルカラーのフォーシーズン分類

色とりどりなお花畑
ブルべ、イエベという言葉をSNSなどで見かけるときには、「ブルべ夏」「イエベ秋」など、季節の名前を合わせて付けられていることが多いですよね。

これは「フォーシーズン分類法」という、パーソナルカラーの主流となっている分類法に基づいたものです。

ブルーベース、イエローベースをそれぞれ2つのパレットに分けて、4つのカラーパレットそれぞれに「春(Spring)」「夏(Summer)」「秋(Autumn)」「冬(Winter)」という季節のイメージを重ねて表現したものです。

フォーシーズン分類

春(Spring)
イエローベースで明度が中~高、澄んだ色が似合う人

夏(Summer)
ブルーベースで明度が中~高、くすんだ色が似合う人

秋(Autumn)
イエローベースで明度が低~中、くすんだ色が似合う人

冬(Winter)
ブルーベースで明度が低~高、澄んだ色が似合う人

マリー
マリー
ブルべは夏と冬、イエベは春と秋にさらに分けて似合う色の選択肢をもう少し狭めて使いやすくしましょう、というのがフォーシーズン分類だと言えます。

アメリカ人のカラーコンサルタント、キャロル・ジャクソン(Carole Jackson)の1980年の著書『カラー・ミー・ビューティフル』によって有名になりました。この本は日本でも発売され、1980年代には日本で第1次パーソナルカラーブームが起こったそうです。

今は第2次パーソナルカラーブーム

カラーペーパー
ここ数年、ネットやメディアでブルべ、イエベという言葉が飛び交うようになった状況は、第2次ブームと言われているみたいですね。

分類法も、フォーシーズンを基本に8分類、16分類などさらに細分化したり、2つのシーズンや2つのカラーベースをまたいで似合うカラーを提案したりと、さまざまな流派が登場しています。

なぜ今、再びパーソナルカラーがここまで流行っているのか、きっかけとなったマーケティング的な何かがあったのかどうか、わたしは知りません。

ただ、SNSでいろんな人が発信する情報を受け取れるようになって、テレビや雑誌などマスメディアから受け取っていた画一的な美しさとかトレンドだけじゃなくて、「いろんなスタイルがあっていいんだ」って、みんなが自然と思うようになってきた流れの中の動きの一つなんじゃないかなあとは思ってます。

マリー
マリー
自分らしさをゼロから作り上げていくのは難しいけど、判断基準になる法則や分類のようなものがあれば、それをヒントに当てはめて考えやすいもんね!

パーソナルカラーをはじめ、骨格診断や顔タイプ診断、パーソナルデザイン診断など、イメコンと呼ばれるイメージコンサルティング全般のブームは、みんなが「自分らしい美しさ」を求めるようになってきたことの現れなのかなと思うんです。

まとめ:ブルべ、イエベは単純に肌の色のことではない

菜の花畑に立つ女の子
いつのまにやら「いまどき知ってて当たり前の言葉」ぐらいな印象になっていたけど、考えてみればブルべ、イエベっていう言葉が女子たちに定着したのは、ここ数年のことですよね。

わたし自身、この言葉をちらほら見かけるようになりだした頃は、「え、なにそれ?」って思ったのを覚えています。

肌の色(≒ファンデーションの色)といえば昔からオークル系とピンク系に大別するのが一般的でした。「イエローベースはともかくブルーベースってなにそれ? 今はピンク系の肌ことをブルーベースって言うのかな?」とか思う人がいてもおかしくないですよね。

それに、自己診断系のコンテンツでは、明らかに「ピンク系の肌→ブルべ」「イエロー系の肌→イエベ」と結論付けさせるような設問のものも少なくない印象です。

でも実際には、ブルべかイエベかは単純に肌の色みだけで決まるものではありません。瞳の色や髪の色も含めたその人固有の持つ色に、肌や髪の質感なども含めて「似合う色彩群」を判断するというものなんです。

色っていうのは、「色み(色相)」「鮮やかさ(彩度)」「明るさ(明度)」の組み合わせで数値化できるというか、かなりシステマティックに表示できるものです。

その一方で、「色彩心理」というものもあって、色を見たときに感じる温度感だとか重み、感情や感覚、イメージなどは、色によって変わってくるのです。「感じ方」は人によって異なるもの。色彩心理については、多く見られる傾向を分析することはできても、厳密に数値化して表したりはできません。

ある色がある人に「似合う」かどうか、というのはかなり色彩心理的なテーマだと言えます。似合うかどうかを判断するのは、ひとりひとりの人だから。そこの最大公約数的なところをシステマティックにしていこうっていうのがパーソナルカラーだと思ってます。最近ではAIパーソナルカラー診断もちらほら登場してきていることだし、将来的にはさらに明確な分析が可能になるんじゃないかなって期待してます。

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