肌があんまり強くないという自覚がある人や、合わない化粧品で痛い目にあったことのある人にとって、「赤ちゃんの肌にも使える」みたいなキャッチコピーがついた化粧品って、「おっ! いいかも」って気がしちゃいますよね。
わたしも若い頃は、
と思って、ベビーローションとか使ってたことがあります。
自然と使わなくなったのは、やっぱそんなにいいとも思わなかったんでしょうね。良くないと感じた記憶も特にないですが。
ベビーローションやベビーオイルというのは、そもそも赤ちゃんの肌に合わせて開発された製品ですよね。それを大人に使うのって問題はないのでしょうか? 気になったのでちょっと調べてみました。わたしの結論としては、「ダメじゃないけど、そんなに良くもなさそう」という感じです。今日はベビー用スキンケアを大人が使うメリットとデメリットについて書いてみます。
赤ちゃん用スキンケアアイテムの魅力はシンプルさ
肌弱い人にとってベビーローションやベビーオイルが魅力的に感じられるのは、なんといっても、成分構成のシンプルさだと思います。
「ベビーローション」「ベビーオイル」と言って真っ先に思い浮かぶのは、ジョンソン・エンド・ジョンソンのやつだと思いますが(わたしだけじゃないよね?)、同社のベビーオイルとベビーローションの成分表示をチェックしてみるとこんな感じです。
ミネラルオイル、酢酸トコフェロール
水、ミネラルオイル、ジメチコン、グリセリン、ステアリン酸グリコール、ポリソルベート20、PG、フェノキシエタノール、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、安息香酸Na、オクトキシグリセリン、スルホコハク酸ジオクチルNa、水酸化Na、トコフェロール
ベビーオイルの潔いほどのシンプルさよ。ミネラルオイルというのは、石油から精製される炭化水素で、ワセリンの液体版みたいなものですね。酢酸トコフェロールは酸化防止剤。以上!
ベビーローションのほうは、水と保湿成分(グリセリン)が入っている分、乳化のための界面活性剤とか防腐剤とかもろもろ入ってるけど、それでも大人用の化粧品の表示と比べたら、配合されている成分の数はかなり少ないことがわかります。
配合されている成分の数が少ないということは、肌が弱い人にとって「地雷が少ない」ということです。肌トラブルを引き起こす要因が入ってる可能性が低くなるのはやっぱりありがたいですよね。
あと副次的なメリットとして「コスパが良い」というのもあるかな。シンプルな原料で構成されている化粧品は、美容成分てんこ盛りな化粧品と比べて原価が安いから、プチプラで買えるものが多いですよね。
赤ちゃん用スキンケアアイテムは大人の肌に合わない?
では、赤ちゃん用スキンケアアイテムを大人が使うのは、良いことばっかりかと言うと、そうではないですよね。
さっきも書いたとおり、シンプルな成分構成ということは、裏返せば美容効果が期待できる機能性成分があまり含まれていないということです。自分の肌に合わないものでない限り、美容成分は取り入れたいと思うのがオンナゴコロというものでしょう。
でもまあこの点に関していえば、ベビー用に限らず、みんな大好きハトムギ化粧水やニベアクリーム、ダイソーの美容液などなど、プチプラ人気コスメたちだって同じことです。
それよりも気になるのは、赤ちゃんの肌と大人の肌の違いによる成分構成の特徴です。
赤ちゃんの肌と大人の肌の違い
「美肌の条件「うなはたけ」って? 肌の美しさは総合競技!」でも書きましたが、「美しい肌」を表現するための比喩として、よく「赤ちゃん肌」なんて言葉が使われます。
みずみずしくうるおっていて、やわらかくてプルプル、しみやくすみなんて一切ない赤ちゃんの肌は、理想そのものであるかのように言われることが多いです。
でも実は、赤ちゃんの肌と大人の肌は、かなり性質が異なるということをご存知でしょうか?
赤ちゃんの肌は、生後2か月頃までは皮脂分泌が多いのですが、3か月頃から皮脂分泌量がガクッと低下するそうです。
皮脂が少ないのに対して、体温調節のために汗は活発にかきます。体は小さいけど、汗腺の数は大人と同じなので、とても汗っかきです。
つまり赤ちゃんの肌表面は、汗(水分)に対して皮脂(油分)が少なくなりがちなんですね。汗の量に対して十分な皮脂の量がなければ、皮脂膜がうまく形成されません。
さらに赤ちゃんの表皮は、大人の表皮と比べて半分ほどの厚さしかありません。水分蒸発を防ぐためのバリア機能も、大人に比べると未発達です。だから赤ちゃんの肌の内部は乾燥しやすいんですね。
赤ちゃん用スキンケアは「油分を補う」ことに注力されている
そして、油分が少ない赤ちゃんの肌のためのスキンケアアイテムとして開発されているのが、ベビーオイルやベビーローションです。
当然、油分が多いです!
ベビーオイルはさっき見たとおり、ほぼミネラルオイルがすべてでした。これをさっと肌に塗ってあげることで、足りない皮脂を補うという発想ですね。
ベビーローションについては、水分と保湿剤その他もろもろが入った構成でした。もう一度見てみましょう。ついでに、同じジョンソン・エンド・ジョンソンの大人用のボディケアローションの成分と比較してみましょう。
水、ミネラルオイル、ジメチコン、グリセリン、ステアリン酸グリコール、ポリソルベート20、PG、フェノキシエタノール、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、安息香酸Na、オクトキシグリセリン、スルホコハク酸ジオクチルNa、水酸化Na、トコフェロール
水、グリセリン、ミネラルオイル、セテアレス-6、カルボマー、フェノキシエタノール、ステアリルアルコール、香料、クエン酸Na、水酸化Na、メチルパラベン、シア脂、プロピルパラベン、クエン酸、エチルパラベン、ホホバ種子油、スクワラン、酢酸トコフェロール、オレイン酸グリセリル、ダイズ油、ヒマワリ種子油
化粧品の全成分表示というのは、配合量の多いものから順番に記載されます。どちらも一番最初に書いてあるのは「水」です。ローションなので水がベースですね。
水の次に多く含まれている成分を見ると、大人用のラスティングモイスチャーが「グリセリン」(保湿剤)であるのに対して、ベビーローションは「ミネラルオイル」(油分)です。続いて多い「ジメチコン」もシリコーンオイルで、その次にようやく「グリセリン」が出てきます。
ベビーローションは、大人用のローションと比べて、かなり油分の多い構成になっていることがわかります。
まとめ:ベビー用スキンケアを大人が使うのはあり?
さて、ここまでを踏まえて「赤ちゃん用スキンケアアイテムを大人が使ってもいいの?」という、記事タイトルで提示した疑問に対する結論です。
わたしの考えとしては、「使ってもいいか」については、当然、「使ってもいい」と思います。あんまりいろんな成分が入っていないという安心感はやっぱり大きいですし、そこを第一に考える人も当然いると思うからです。
それに、肌というのは人それぞれすごく個性が違うので、何が良いかっていうのは自分で使ってみないとわからないですよね。いろんな選択肢の一つとしてベビー用を試してみるのは当然「あり」でしょう。
ただ、赤ちゃんの肌と大人の肌の性質がかなり違うことを考えると、赤ちゃんの肌のために開発された製品は、多くの大人の肌にとって「最適ではない」と考えられます。
油分が多めに配合されたものだと理解したうえで、乾燥しがちな部分に使用するなど、上手に生かして使うのが良いのではないかなと思います。
